夜泣きと天才君

2013/03/28

22歳で学習塾をスタートした32年前、当時最も幼い子は2歳6ヶ月の男の子でした。

彼は2歳半で分数の理解ができるいわゆる天才児でした。

お母さんは彼をどの様に育てられたのかが、当時の私の最大の関心事でした。

母親の話し方とスピード、毎日どのようなことを家庭でされたのか。

こうした疑問を彼のお母さんに常にしていました。

「実は先生、この子の祖母が『子どもが生まれたら自分が家事を全部やるから、あなたは子どもとたくさん遊んであげなさい。』と言ってくれまして、子どもとの買い物以外は家事をあまりしていないんです。」と、打ち明けて下さいました。

これは極端でかなり恵まれた環境の例かもしれません。

しかし、子どもが遊ぶということは生きることです。

たくさん遊ばない子どもの心身は、健全に発達しません。

このお母さんは、朝から晩まで外や家の中でよく遊んだそうです。

特に印象に残っているお話は、8ヶ月のときに時計が理解できたことです。

夜泣きのひどかったその子をおんぶして、時計を見せながら「もう12時だから寝ようね、1時だから早く寝ようね。」などと毎日言いながらおんぶであやしていると、ある日時計を指差し「はちじ」と言ったそうです。

時計を見たお母さんは本当に8時だったことに大変驚いたそうです。

私は、その天才児を13年間教えさせていただきました。

現在3歳になった彼とは、今でもお話を時々しますが、その天才ぶりはいまだ健在です。

そのお母さんの話し方は、ほんの少しスピーディでとてもはっきりしています。

高くも低くもない声です。

当時絵本を1日10冊以上読んであげていました。

一般に天才児は夜泣きがひどいと聞きます。

昼間遊びなどから脳にとって刺激的な体験をたくさん受けたため、脳に一度に多くのことが記憶され眠りにくくなったのだと思います。

私の教え子で東大に合格した子のお母さん達にお聞きすると、かなりの確率でお子さんが夜泣きがひどかったとおっしゃいます。

子どもとの遊びの世界をいかに楽しめるかが、子どもの脳の発達に大いにつながるのですね。

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